ミリメシ

ミリメシってなにさ

 「ミリメシ」って言葉を聞いた事がありますか。読売新聞に掲載されいたのですが、自衛隊が演習などで食べている「携行食」のことを言うそうです。
語源は、ミリタリー(軍)と食事(メシ)だそうです。ミリタリーは世界中にあるので、世界各国にミリメシが存在します。記者は、世界中のミリメシを食べまわったそうで、各国の食事のお国柄が出ていて面白かったそうな。

 実は、コレを書いている私も自衛隊出身です。千歳で5年ほど勤務していたので、携行食は、いろいろ口にしています。野外で24時間活動することから、自衛隊の演習食は、高カロリー。塩分も高めです。

 一般の大人が、一日に摂取するカロリーが、2800キロカロリーだとすると、自衛隊では、3300キロカロリーをベースに、食事が与えられます。「24時間勤務」というのは、自衛隊の建前。普段、駐屯地にいるときには、8時間で勤務が区切られています。しかし、演習が始まると、本当に24時間。休むときは休むものの、状況によって、昼夜の区別なく動き回ります。服を脱いで寝ることなんか、もちろんできません。体力(体内エネルギー)の消費が大きいくなるのです。

 糧食班(食事をつくる管理部隊)が、煮炊きできるときもありますが、それは、演習の準備期まで。本格的に状況(本番)が始まってしまえば、携行食が唯一のエネルギーとなります。

 腹がへっては戦ができぬ。私は、大飯食らいだったので、自前で、ソーセージやチョコレートとかを持っていってました。

 携行食は、缶に入っているものと、レトルトパックに入っているものとがあります。
中身は、ご飯の入っている主食の缶・おかずの缶・それと、たくあんなどの漬け物などもありました。

 主食で人気なのが、「鳥メシ」です。腹持ちが良いように、ほとんどは餅米を混ぜた「おこわ」でした。「たくあん」塩分が多いせいか、当たるのは2人に1個。分け合って食べるのです。ぱりっとして、よくつけこんであるたくあん缶は、水割りによく合うと、評判でした。人気が高いので、みんなに配るつもりで置いておいた箱の中から、たくあんだけが無くなっていることもありました。(飲み屋にもっていくと、喜ばれた!)

 入隊したころは、缶の食事しかありませんでしたが、少しずつ、レトルトパックが増えました。レトルトは缶に比べて形状が薄いため、バックの隅に収まるのが便利でした。しかし、見た目の量が少ないので、食べたという実感が少ないのが、さびしかったですね。箸を使わなくても食べられるので、封を切って立ったまま食べていたような気がします。

 読売の記者の意見では、一番うまかったのはフランスのミリメシと、「自衛隊のたくあん」だったそうです。市販しないのでしょうかね。




 迷彩柄のサバイバル弁当

 保存期間が1年という、サバイバル弁当が売られています。「ミリメシ」をベースにした、食べ物で、おいしいと評判を呼んでいます。実際に自衛隊内で食べられている携行食とは、違っています。一般向けにアレンジされているので、本物よりも食べやすいかもしれません。

 ミリメシの種類は、すき焼きハンバーグ、中華風カルビ丼、ウィンナーカレー、鳥手羽元煮の4つ。レトルトパックに入ったおかずと、白いトレーに入ったご飯がセットになっています。どれも、迷彩の箱に入っているので、ミリタリー感を楽しむことができます。

 保存期間「1年」は、実用的。話の種に食べるのいいですが、家庭用保存食のバリエーションとしても活用できます。お湯で熱するか、電子レンジで暖めて食べます。ウィンナーカレーには、加熱袋の働きで、水を入れるだけで温まるタイプのものもあります。なおのこと災害用に重宝しますね。「ミリメシ」は、おいしいので、災害用の非常食以外にも、アウトドアの食事としてもいかがでしょうか。

 さて、もともとが自衛隊隊員が食べるために作られているので、味付けが濃い。ミリメシを毎日食べたら、簡単に生活習慣病にかかってしまいます。食べ方はひと工夫しましょう。例えば、「鳥手羽元煮」を食べるなら、食物繊維を豊富に含んでいる、きのこ・野菜も一緒に食べるのがいいでしょう。そうすることで、塩分や脂肪が吸収しにくくなります。

 ミリメシブームの火付け役は、2006年に発売された「世界のミリメシを実食する」という本。ミリメシには各国の食文化が反映されているところが、人気の秘密とか。肉を主体とするアメリカには、同時にベジタリアンもいるので、野菜ばかりのミリメシがあったり。ゆっくり食べられない場合のために、「ポケットサンドウィッチ」のようなミリメシもあるそうです。

ところで、上述の自衛隊ミリメシが売られている場所は、陸上自衛隊の広報センターの中。所在地が東京の練馬区なので、遠方の方は、なかなか足を運ぶのは難しいですね。